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≪続≫年末ですね。 ~ワインを日常に~

『年末ですね』という内容とタイトルがリンクしていない記事でおもむろに書き出した諸々。
ちゃんと書ききらなければ怒られそうなので、もう少し続きを。

今回の記事の題名、
私たちワイン業界に携わる人間からしてみれば悲願だと思います。

でも、もしかすると僕の考え方は一部の方から受け入れられないかも知れません。
また、お客様の中には不快に思う方もいらっしゃるかも知れません。
でも、書かずにはいれないところまで『こと』は進んできてしまいました。

誤解を恐れずに書きたいと思うのですが、
どうかここから先を読むときは時間があるときにしてください(笑)




前回の記事で『創業準備中』と書きました。
これは事実です。

私はある目的を達成する手段としてワインショップを創業しました。
というよりワインショップとしてスタートしました。

私のそもそもの目的は『自分の手でワインを造ること』でした。

この『ワインを造る』という意味ですが、
当時は自分が醸造家になるというよりは、
ワイナリーを経営するという意味合いが強かったように思います。

自分でワイナリーを持つには、
まずは、自分でビジネスを興し、
いつかお金を借りれるように(もしくは、自分で貯めて)ならなければいけない。

でも、当時は海外放浪時代、日本に戻っても無職・無一文・ワイン造りの経験もナシに等しい。

では、わずかの予算、独りで出来て、
かつ、店の中で待つ仕事ではなく外に打って出られる様なワインの仕事は何だろう?

そして、自分がワインを造った時にプラスになるような仕事は何だろう?と。

悩みに悩んだ結果、辿り着いたのが『ワインショップ』でした。

ただ、周囲の人に言うには、
その条件でワインショップに普通は辿り着かないらしいですが(笑)

もちろん、理由はそれだけではありません。

パリのカーヴデパピーユを訪問した時のあの感動、
神戸元町のジェロボアムさんに出会った時の衝撃。

それまでの出会いの中でもかなりのインパクトを心に残していました。
その流れから、ワインショップFUJIMARUは小売のセレクトショップとして日本橋に誕生しました。

そう、そもそも私は手渡しの店頭販売がしたくて、前述した2軒に憧れて、お店を始めたのです。

しかし、お金がなくて立地がいいところなんかには造れません。

でも、神様は藤丸青年に味方します。
奇跡的に出会った物件は潰れかけ(というより潰れてた)の酒屋さんでした。

これが最初の日本橋店。

もちろん、資金なんてありません。
色んな方に助けていただいて集まったお金は350万円。

なんとか無理やり店はオープンしたんですが、そこは大阪なの?っていう立地。

店構えは前の酒屋さんが残したビールやチューハイの自販機が6台(稼働中(笑))。
入口がどこかさえわからない。

結局、お金が足りなくて店内しか改装できず、
お金が貯まったら外観に手を入れようと思っていたら、
結局6年間何もしないまま移転しましたが(笑)

もう少し付け加えると、私自身、有名なレストランで働いていた訳でもないですし、
ナジャではアルバイトとしては長かったですが、レギュラースタッフではなかった。
(魂は受け継いでる自信はありますが)

たまたまWEB関連の仕事で出会ったライターさんが何を思ったのか、
ワイナートのワールドトピックのコーナーで

『あの藤丸氏がいよいよワインショップをオープン!』

なんて記事が掲載された時には、
みんながみんな、『あの』ってどの?藤丸って誰?と大阪では逆に話題になったとか、ならなかったとか。

要するに全くの無名。

しかも、物件の手付金を払うまで帰国後わずか10日。

挨拶どころかDMも1枚も出さなかった。

オープンを知ってるのは古くからの友人だけで
そんな状態で店を出来ると思ったのは完全に若気の至り。
絶対おすすめしません。

なんせ、自分がワインショップの仕事が未経験だったことに気付いたのは
オープンして数ヵ月後でした。

金もない、知名度もない、経験は・・・まだ29歳でしたしね。

あるのは勢いだけ。


で、結果、お客さん、来なかったんですよ。
そりゃ、来るわけないですよね。
もう笑えるぐらい暇でした。

でも、周囲には絶対言いませんでしたけどね。
だって、帰国後、会った人全員に開業を反対されたので絶対暇って言いたくなかった(笑)


営業的には暇な毎日。←手抜き工事だったので補修に忙しかった。。
電話だって鳴らない。

多分、前の人が残してくれた自販機がなければ
数か月で潰れてたんじゃないでしょうか。


でも、そこで神様は次のプレゼントをくれるのです。

何となく雰囲気を察してくれたレストラン時代の友人たちが
僕を助けるために自分のお店で使うワインを注文してくれるようになりました。

でも、最初の僕の反応は「え、ワイン、レストランに売っていいのかな?」でした。
それぐらい何も知りませんでした。

その気を遣ってくれた友人というのは、今、一緒に働いている福井や中村です。
2年後、彼らは合流することになりますが、
僕にとっては創業メンバーです。

一方、DAIGAKU関本さんや豚玉の今吉さんには、
本当に多くのお客様を紹介してもらいました。
創業期の一番しんどい時を売上という部分で助けてもらいました。


ただ、ここでひとつ大きな矛盾が生まれました。

店頭にいらっしゃる方がプロばかりだったのです。

というより、一般の方が来るには辺鄙だし、セレクトも当時は尖りすぎ、
何よりも私の接客自体が尖っていたように思います。
まぁ要するに一般受けするタイプではなかったんですね。
今もそう思いますけど。。。

で、そこで僕は疑問に思いました。

なぜ、こんなに業務店の方ばかりいらっしゃるんだろう?と。
もちろん、紹介ということもあるのですが、
実際に購入され取引が続くお店がほとんどでしたし、
なぜか、「こんな店欲しかった」とプロから言われる。。。

そっか、プロにとってもこうやって手にとって
店員と話をしながら業務用の価格で買えるお店ってないんだ!と。

他のエリアはわかりませんが、
当時、大阪はまだそんな状況だったんです。
(今は中心部にも素敵なワインショップが増えましたよね~。)

店を初めて数カ月、やっと自分の役割が生まれたように感じました。
業務用としてのFUJIMARUがスタートした瞬間です。

・・・・・・

あ、話がそれてる!

完全に「ワインを造る」から脱線していますが
グイっと上の方に戻りたいと思います。

当時、日本のワインは今のように売れてはいませんでした。
ましてや、関西、とくに大阪は。
それは未だに国産ワインの生産者から聞きます。
大阪では売れない、と。

大きな理由はいくつかあるのですが、
まだこの業界で生きていきたいのでここでは書きません・・・

でも、販路をしっかり持つということが、
何よりも大事なんじゃないか?と世界中の産地を訪問し、
色んなワインに出会うことによって強く思うようになったのです。

ワインは個性の塊。
そして、それを飲む人間も個性の塊。
人間同士にも相性があるように人とワインにも相性がある。
一般的にはちょっと変わったワインでも、
多くはないかもしれないけど、それを好きって言ってくれるお客さんがいる。

じゃあ、自分がワインを造った時
それを美味しいと言ってくれそうな人に飲んでもらうことがとっても大事に思いました。
そのためには販路を先に作ることがとっても重要だと思ったのです。

なので、ワインショップ。

しかも、小売だったんです。

創業当初の、あの尖ったセレクトも自分が作りたいワインをイメージしたものを集めたから。
まぁ、キュベ・パピーユを飲んだことがある方は何となく理解してもらえると思いますが。
(あ、ワインのレベルは全くもって届いてないです)

いつか自分の造ったワインを直販するために、私はショップを造りました。

ここでお願いがあります。
多分、読まれている方の中には、
「じゃあ、業務用は片手間なのか?」と感じる方もいると思います。
(僕が今までこの辺りのことを言わなかった理由でもあります。)

逆に伺いたいのが、僕らの業務用の仕事ぶりが片手間に見えますか?
業務用が儲かるからという理由のみでやっているように見えますか?
(儲からない仕組みになっていますから)

もし、そう見えるというのなら僕らはまだまだですね。
単純に力不足です。もっともっと頑張るだけです。

でも、実際は違います。
いつか直販するために小売を始めたのは確かですが
お店を続けていくにつれて、もっと根深い課題があることに気付きました。

なかなかWEBで話すには難しい課題なので
ここでは突っ込んでは話しませんが、

もしかすると、僕にしかできない仕事があるのではないだろうか?

と、思うようになったのです。

サービス出身で世界の産地を周り、畑やワイナリーで汗を流し、今はワインショップ。
その頃にはアカデミーデュヴァンで講師の仕事も始めていました。
(昔、ソムリエ協会のWEBやヴィノテークに記事を寄稿したことも)

どれも短い期間だったし、レベルは低かったけれど
これだけワインの仕事をこなしている人間は、
当時、同世代では見当たりませんでした。

僕がしてきた経験や仕事を生きた言葉で一人一人に伝えることは
自分の『夢』の実現のためには実は近道なのかも知れない。

プロと消費者を区別するのではなく、
逆にプロと消費者をワインというツールを利用して近づける。
もっと言うと生産者とプロと消費者を近づける。

これが出来るのは全ての分野を経験している自分なのではないか?

そう思うようになりました。
『自分にしかできない仕事』を見つけた瞬間でした。


私には『夢』があります。

それは『ワインを造る』ではありません。
『ワインを造る』は目的です。

夢と目的は別のものです。

私の夢は『ワインを日常に』です。
『NO WINE NO LIFE』です。

その数値目標が『ワインの消費量を2倍に』です。

口にすることは簡単です。
でも、本気で取り組むと本当に大変。
いや、大変どころじゃないんですが。

でも、この夢をすべての行動基準にすると
どんな困難な局面も何とかくぐり抜けることができました。

いつ、どんな時も僕のエネルギーの源であり、
僕たちがとる進路は常にこの夢に向かっています。

そして、僕が夢に近づくには、世界中の個性あふれる素晴らしいワインも
キラ星のような国産ワインも必要不可欠なんです。

自分で造ったワインだけを売り込むことなんて
僕らにとって意味のないことですし、逆に後回しになってるぐらい。


少し斜に構えてみると
ワイン屋だからワインの消費量が上がったら儲かるもんね。
という意見もあるかもしれません。

でも、そうじゃないんです。

昔、ジーコがイラクの監督を引き受けたとき、
なぜ、そんな危険な地域に行くの?と聞かれ

『フットボールには世界を平和にする力があるからさ』

と答えたそうです。

痺れました。

じゃあ、ワインが世界を平和にするのかって?
そういう部分じゃないんです、僕が痺れたのは。

自分が『大好きなものの力を信じている』ところに痺れたんです。

あぁ、僕もワインの力を信じていいのかな?と。

もちろん、ワインはお酒であり、嗜好品。

世の中のすべての人に影響を及ぼす力はないのかもしれない。

でも、世界中で楽しまれている飲み物であり、
音楽、サッカーと同様、世界の共通語だと僕は信じています。

ワインは会話を生みます。
美味しくても、気に入らなくても。

誰かと飲めば必ず会話が生まれます。

僕は日本語以外は話せません。
でも、これだけ海外のワイン産地に行って通訳の方がいなくても
それほど困ったことはありませんでした。

地元のレストランやパブに1人で行けば
間違いなく現地の方にカラまれました。
もう全然何言ってるかわかりません。

でも、ワインを勉強していることが伝わればもう仲間です。
もう無理って言うまでワインをだされたこともありました。

このブログの読者の方ならわかって頂けると思いますが
ワインを飲むっていうだけで生まれたご縁がいっぱいあります。

僕はそんな『ワイン』という文化が大好きです。

その大好きな『ワイン』の力を信じているだけです。

僕は聖人君主ではありません。
そんな大それたことも考えていません。

ただ、ワインとワインや食に関わる人たちが好きなだけ。

そして、ちょっぴりお節介なだけなんです。


≪続く≫

結局、今日も本題に入れませんでした。ごめんなさい。
by wine-fujimaru | 2012-12-18 05:35 | @島之内 フジマル醸造所


【2018年4月現在・移転準備中です】大阪・日本橋のワイン屋の日常


by wine-fujimaru

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