サントリー登美の丘ワイナリー研修
ブログでは本当にご無沙汰しています、中村です。
ようやく日中に日差しも心地よく、春の陽気を少しずつ感じれるようになり
野外でスパークリング、ロゼ、爽やかなロワールなんかも飲みたいそんな時期ですね。
今日は山梨にあるサントリー登美の丘ワイナリーさんへ研修に行った際のレポートを。
朝8時30分に甲府駅集合し、そこから専用バスにてワイナリーへ。
ワイナリーは南には富士山(当日は靄がかかって残念ながら見れませんでしたが)、目下には広大な甲府盆地を見下ろせる素晴らしい景色で、標高約400m~600mに位置します。
この場所は日本の中でも
①有数の少雨地帯 年間1100mm(日本平均1600mmボルドー850mm)
②日照時間も長く、年間2250時間(日本平均1900時間 ボルドー2000時間)
③日中の寒暖差が大きい
という大きな3つの特徴をもっているそうです。
自家ブドウ園を有するワイナリーで主な栽培品種は
赤)カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、プティヴェルド、
ブラッククィーン、ピノノワール
白)シャルドネ、甲州、リースリング、で構成。
ワイナリーの歴史は大変古く、
1909年 当時の鉄道参議官 小山新助氏により開墾され、
1936年の寿屋(サントリーさんの前身)が寿屋山梨農場として登美農園を継承
その後、1975年日本初の貴腐葡萄の収穫に成功されたり
2003年には国際コンクール「レ シタデル デュ ヴァン」にて「登美1997」が
日本初の金賞を受賞などなどその歴史は100年以上。
世界を感動させる‘日本ワイン’をコンセプトに
①徹底した土壌調査
土壌の研究の中でワイアレスネットワーク技術を導入されていました。
土壌の中に水分センサー、温度センサーを各区画の地中に埋め込み、そのデータを毎日、時間単位でデータを蓄積、今後その数値をベースにその区画に適した葡萄を植え直したりと改植などの参考にしていくそうです。
②栽培品種の選択
品種ごとに最適な土地で育てるという考えのもと、2010年~2012年にかけて改植を実施中とのこと
③栽培方法の選択
草生栽培―表土の流出を防ぎ、葡萄の根の弾力を出す栽培方法
台木の選択―日本で人気の高い強い樹勢となる台木ではなく、収穫量が少なくても、狙うスタイルに合った
葡萄が取れる台木の選択
仕立ての選択―主にヨーロッパ品種はギヨードゥーブル(垣根仕立て)
甲州などは棚仕立ての一文字短梢
を徹底して管理、実行、確認しておられるそうです。
上記の講義を約60分ほど受けて、いよいと畑へ実習です。
ワイナリーから急な山道を登ること15分、中でも一番標高の高いカベルネソーヴィニヨンの畑へ。
きちんと綺麗に整えられた区画、ふかふかの柔らかい土、足元にはリンドウが咲いていたのが印象的でした。
さて、いよいよ剪定作業へ
剪定の目的は
①前年に伸びた枝の芽数を制限し樹勢を制御することと、毎年安定的に高品質な葡萄を生産すること
②枝、葡萄樹全体の伸びを制御し、木の老化を和らげ与えられた気象・土地においてその葡萄の生長をコントロールすること
上画像が剪定前、下が剪定後。
上画像にいらっしゃる方が、今回ご指導いただいた技師長の渡辺直樹さんです。(アングル悪くてすみません)
渡辺さんはエノログ(フランス国家認定 ワイン鑑定士)であり、ワイン利酒適正資格(ボルドー大学)をお持ちのスペシャリスト。語り口は柔らかいのですが、言葉のひとつひとつに重み、情熱を感じる方でした。
昨年収穫後の状態から、健全でかつ上に向かって伸びている枝を左右1本ずつ計2本のこします。残りの枝は思い切ってカット。
残す枝がまた、悩むんです。片方の枝に新芽を5つずつ残すんですが、1株から計10芽、この畑では一株あたり5L、ボトル約7本弱のワイン量となるわけです。
小売り換算すると。。。。
もちろん、渡辺さんにちゃんと確認してもらいましたよ。
昼食を挟んで、その後、甲州、高台からシャルドネの区画を見学。
上が甲州の畑。先述のカベルネソーヴィニヨンとは仕立て方が変わります。
甲州は棚仕立ての一文字短梢、下画像のシャルドネは9区画のうち、棚仕立て5区画、垣根仕立て4区画に分けてあり、場所によっては遅摘み、台木を変えたりし適正を探りながら、特徴を最大限に引き出す方法を取っておられます。
地下セラーを見学。1990年の登美 赤、貴腐のバックヴィンテージなどお宝が眠ってました(非売品だそうです)
最後の締めはテイスティング
ラインナップは
○2011 登美の丘 甲州
シュールリーを行い、樽とタンクにて4か月熟成。凝縮した、滑らかな果実の
ニュアンス。心地よい酸が食欲をそそるバランスのよい味わい。
春野菜の天ぷら、お魚のカルパッチョなんかと合わせると美味しそう。
○2010 登美の丘 シャルドネ
樽熟成3分の1、タンク熟成3分の2.。やや濃い色調、レモンを思わせる
爽やかな香りと蜂蜜のような優しい旨み。
○2010 登美の丘 白 シャルドネ
フレンチオークにて8か月熟成。バター、ナッツ、トロピカルフルーツを
連想させる凝縮した香り、ふくよかでしっかりとした果実味。小売りで10,000円
と決してお安くはないですが、日本の土地でこのレベルのシャルドネが出来ると
は驚きでした。
○2009 登美の丘 赤(メルロ46%、カベルネフラン27%、カベルネソーヴィニヨン14%
プティヴェルド14%)
樽熟成97% タンク3% カシス、ブルーベリーを思わせる香りとエレガントで
しなやかな果実の味わい。
○2008登美 赤(カベルネソーヴィニヨン64%、メルロ22%、プティヴェルド14%)
フレンチオークにて18か月熟成。カシス、ブラックベリー、カカオなど
力強い香りとタンニンも豊富で骨格のしっかりとした印象。
○1992 登美ノーブルドール (リースリング60%、セミヨン20%)
ヘーゼルナッツリキュール、ローストしたアーモンド、栗の蜂蜜など
複雑で鼻をずっと突っ込んでおきたくなるような素晴らしい熟成感のある香り。
トロリとした口当たりと、綺麗な酸が旨みと程よくバランスを取り、べたつかない上品な甘みが
特徴的。
分刻みのスケジュールでしたが、サントリーの皆様の素晴らしい段取りと、連携の取れた
誘導のおかげでぴっちり時間通りに研修、見学は終了。
至れり尽くせりお世話していただき、貴重なワインもテイスティングに出していただきました。
この場をお借りしまして感謝申し上げます。
本当にありがとうございました~
次回は7月中旬に摘芯、摘房、除葉の作業のご報告が出来ればと思っております。
ようやく日中に日差しも心地よく、春の陽気を少しずつ感じれるようになり
野外でスパークリング、ロゼ、爽やかなロワールなんかも飲みたいそんな時期ですね。
今日は山梨にあるサントリー登美の丘ワイナリーさんへ研修に行った際のレポートを。
朝8時30分に甲府駅集合し、そこから専用バスにてワイナリーへ。
ワイナリーは南には富士山(当日は靄がかかって残念ながら見れませんでしたが)、目下には広大な甲府盆地を見下ろせる素晴らしい景色で、標高約400m~600mに位置します。
この場所は日本の中でも
①有数の少雨地帯 年間1100mm(日本平均1600mmボルドー850mm)
②日照時間も長く、年間2250時間(日本平均1900時間 ボルドー2000時間)
③日中の寒暖差が大きい
という大きな3つの特徴をもっているそうです。
自家ブドウ園を有するワイナリーで主な栽培品種は
赤)カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、プティヴェルド、
ブラッククィーン、ピノノワール
白)シャルドネ、甲州、リースリング、で構成。
ワイナリーの歴史は大変古く、
1909年 当時の鉄道参議官 小山新助氏により開墾され、
1936年の寿屋(サントリーさんの前身)が寿屋山梨農場として登美農園を継承
その後、1975年日本初の貴腐葡萄の収穫に成功されたり
2003年には国際コンクール「レ シタデル デュ ヴァン」にて「登美1997」が
日本初の金賞を受賞などなどその歴史は100年以上。
世界を感動させる‘日本ワイン’をコンセプトに
①徹底した土壌調査
土壌の研究の中でワイアレスネットワーク技術を導入されていました。
土壌の中に水分センサー、温度センサーを各区画の地中に埋め込み、そのデータを毎日、時間単位でデータを蓄積、今後その数値をベースにその区画に適した葡萄を植え直したりと改植などの参考にしていくそうです。
②栽培品種の選択
品種ごとに最適な土地で育てるという考えのもと、2010年~2012年にかけて改植を実施中とのこと
③栽培方法の選択
草生栽培―表土の流出を防ぎ、葡萄の根の弾力を出す栽培方法
台木の選択―日本で人気の高い強い樹勢となる台木ではなく、収穫量が少なくても、狙うスタイルに合った
葡萄が取れる台木の選択
仕立ての選択―主にヨーロッパ品種はギヨードゥーブル(垣根仕立て)
甲州などは棚仕立ての一文字短梢
を徹底して管理、実行、確認しておられるそうです。
上記の講義を約60分ほど受けて、いよいと畑へ実習です。
ワイナリーから急な山道を登ること15分、中でも一番標高の高いカベルネソーヴィニヨンの畑へ。
きちんと綺麗に整えられた区画、ふかふかの柔らかい土、足元にはリンドウが咲いていたのが印象的でした。
さて、いよいよ剪定作業へ
剪定の目的は
①前年に伸びた枝の芽数を制限し樹勢を制御することと、毎年安定的に高品質な葡萄を生産すること
②枝、葡萄樹全体の伸びを制御し、木の老化を和らげ与えられた気象・土地においてその葡萄の生長をコントロールすること
上画像が剪定前、下が剪定後。
上画像にいらっしゃる方が、今回ご指導いただいた技師長の渡辺直樹さんです。(アングル悪くてすみません)
渡辺さんはエノログ(フランス国家認定 ワイン鑑定士)であり、ワイン利酒適正資格(ボルドー大学)をお持ちのスペシャリスト。語り口は柔らかいのですが、言葉のひとつひとつに重み、情熱を感じる方でした。
昨年収穫後の状態から、健全でかつ上に向かって伸びている枝を左右1本ずつ計2本のこします。残りの枝は思い切ってカット。
残す枝がまた、悩むんです。片方の枝に新芽を5つずつ残すんですが、1株から計10芽、この畑では一株あたり5L、ボトル約7本弱のワイン量となるわけです。
小売り換算すると。。。。
もちろん、渡辺さんにちゃんと確認してもらいましたよ。
昼食を挟んで、その後、甲州、高台からシャルドネの区画を見学。
上が甲州の畑。先述のカベルネソーヴィニヨンとは仕立て方が変わります。
甲州は棚仕立ての一文字短梢、下画像のシャルドネは9区画のうち、棚仕立て5区画、垣根仕立て4区画に分けてあり、場所によっては遅摘み、台木を変えたりし適正を探りながら、特徴を最大限に引き出す方法を取っておられます。
地下セラーを見学。1990年の登美 赤、貴腐のバックヴィンテージなどお宝が眠ってました(非売品だそうです)
最後の締めはテイスティング
ラインナップは
○2011 登美の丘 甲州
シュールリーを行い、樽とタンクにて4か月熟成。凝縮した、滑らかな果実の
ニュアンス。心地よい酸が食欲をそそるバランスのよい味わい。
春野菜の天ぷら、お魚のカルパッチョなんかと合わせると美味しそう。
○2010 登美の丘 シャルドネ
樽熟成3分の1、タンク熟成3分の2.。やや濃い色調、レモンを思わせる
爽やかな香りと蜂蜜のような優しい旨み。
○2010 登美の丘 白 シャルドネ
フレンチオークにて8か月熟成。バター、ナッツ、トロピカルフルーツを
連想させる凝縮した香り、ふくよかでしっかりとした果実味。小売りで10,000円
と決してお安くはないですが、日本の土地でこのレベルのシャルドネが出来ると
は驚きでした。
○2009 登美の丘 赤(メルロ46%、カベルネフラン27%、カベルネソーヴィニヨン14%
プティヴェルド14%)
樽熟成97% タンク3% カシス、ブルーベリーを思わせる香りとエレガントで
しなやかな果実の味わい。
○2008登美 赤(カベルネソーヴィニヨン64%、メルロ22%、プティヴェルド14%)
フレンチオークにて18か月熟成。カシス、ブラックベリー、カカオなど
力強い香りとタンニンも豊富で骨格のしっかりとした印象。
○1992 登美ノーブルドール (リースリング60%、セミヨン20%)
ヘーゼルナッツリキュール、ローストしたアーモンド、栗の蜂蜜など
複雑で鼻をずっと突っ込んでおきたくなるような素晴らしい熟成感のある香り。
トロリとした口当たりと、綺麗な酸が旨みと程よくバランスを取り、べたつかない上品な甘みが
特徴的。
分刻みのスケジュールでしたが、サントリーの皆様の素晴らしい段取りと、連携の取れた
誘導のおかげでぴっちり時間通りに研修、見学は終了。
至れり尽くせりお世話していただき、貴重なワインもテイスティングに出していただきました。
この場をお借りしまして感謝申し上げます。
本当にありがとうございました~
次回は7月中旬に摘芯、摘房、除葉の作業のご報告が出来ればと思っております。
by wine-fujimaru
| 2013-03-08 02:49
【2018年4月現在・移転準備中です】大阪・日本橋のワイン屋の日常
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